「ファクタリング」と「給与ファクタリング」、似たような言葉ですが、実はまったく異なる仕組みです。
特に給与ファクタリングは、利用すると重大なトラブルに発展する可能性があり、注意が必要です。
本記事では、両者の違いとリスク、なぜ混同されやすいのかについて、初心者にもわかりやすく解説します。
なぜこの質問が多いのか
中小企業の経営者や個人事業主だけでなく、会社員など一般の方にも「即日ファクタリング」という言葉が広まりつつあります。
しかし、ネット広告やSNSなどで「即日現金化」「審査不要」などと紹介される給与ファクタリングが混乱を招き、実際にはファクタリングと呼べない違法なサービスが横行しているのが現状です。
ファクタリングと給与ファクタリングの違い【結論】

ファクタリングは「企業が持つ売掛金(請求書)を売却して資金を得る合法的な取引」であるのに対し、
給与ファクタリングは「労働者の給与債権を担保に資金を貸し付ける違法行為」とされ、事実上のヤミ金です。
つまり、ファクタリング・即日ファクタリングは法人向けの合法的な資金調達手段であり、給与ファクタリングは個人向けの違法な貸金業に該当する可能性が高い行為です。
ファクタリングの仕組み

ファクタリングとは、企業が取引先に対して持つ売掛債権(請求書など)をファクタリング会社に売却し、支払期日前に現金を得る仕組みです。
【主な特徴】
- 対象:法人の売掛金
- 登場人物:企業・ファクタリング会社・取引先(3社間の場合)
- 目的:法人の資金繰り改善
- 合法か:合法(債権売買として成立)
企業にとっては、資金繰りの柔軟性を高める手段として活用されており、法的にも認められたビジネスです。
給与ファクタリングの仕組み
給与ファクタリングとは、「勤務先からの給与をまだ受け取っていない従業員が、その給与債権を業者に買い取ってもらい、前倒しで現金を受け取る」という名目のサービスです。
しかし実態は、給与債権を名目とした個人向けの貸金行為であり、 高金利での貸付・違法な取り立て・貸金業登録なしの営業など、ヤミ金と同様の問題を多く含みます。
【主な特徴】
- 対象:個人の給与債権(未払い給与)
- 登場人物:労働者・給与ファクタリング業者
- 目的:生活費などの個人資金調達
- 合法か:違法(貸金業法違反に該当)
金融庁や消費者庁も明確に「給与ファクタリングは貸金業に該当し、無登録営業は違法」と警告しています。
よくある誤解とトラブル事例

「売掛債権を現金化する仕組みは同じだから、給与ファクタリングも合法では?」と考える方がいますが、それは誤解です。
法人が行うファクタリングは「債権譲渡」であるのに対し、給与ファクタリングは「実質的な貸付」であり、貸金業法の規制対象となります。
実際に、給与ファクタリングを利用したことで法外な利息を請求されたり、違法な取り立てを受けたという被害報告が相次いでいます。
実務での注意点
【ファクタリングを正しく使うには】
- 取引先との売掛債権が明確であること
- 信頼できるファクタリング会社を選ぶこと
- 契約内容(手数料、支払条件など)をよく確認すること
【給与ファクタリングは利用しないこと】
- 利用は違法性が高く、トラブルの原因になる
- 生活費が足りない場合は、自治体の生活支援制度や公的融資を検討する
- 困ったときは弁護士や法テラスに相談を
専門家の支援が必要な場面

ファクタリングを利用する法人には、行政書士や中小企業診断士が契約内容の確認や資金調達計画の助言を行えます。
給与ファクタリングに関しては、すでに利用してしまった場合でも、弁護士への早期相談により被害の拡大を防ぐことが可能です。
まとめ:ファクタリングは合法、給与ファクタリングは原則違法
ファクタリングと給与ファクタリングは、名前が似ていてもまったく異なる性質を持っています。
法人向けのファクタリングは正規の資金調達手段ですが、個人向けの給与ファクタリングは違法性が高く、利用は絶対に避けるべきです。
不安な場合は、必ず専門家に相談し、安全で適切な資金繰り手段を選びましょう。